μTRON向き不向き? いちユーザーの私的考察。

本日コメント欄にて、安倍様という方より、μキーボードに関する質問を頂きました。http://d.hatena.ne.jp/altocicada/20120818/1345220472#c
折しもμTRONキーボードを使用し始めて丸1年ちょっとが経過し、少しまとめ的なものも残しておきたいと感じていたところですので、安倍様への返答も兼ねて、思うところを記事にしてにしてみようかと思います。
このところ立て込んでいて時間が余り取れませんので、文章のみになりますが、いずれ写真や図表などを添えて、物理的な使用環境なども追記できれば、などと考えています。(この点はμTRONキーボードを活用する際、思いの外重要な点であると思っています。セッティングの自由度が高いぶん、試行錯誤の幅も広く、道に迷ったように感じることもありました…。)


Ⅰ.身体の寸法的・形状的な側面、静的な観点から
>HHKLite2をμtronのキータッチにしたものイメージして…
 仰る条件ですと、あくまで私の場合ですが、両手を標準キーボードの標準運指の位置まで寄せる、さらに手首が内旋してしまう、という時点で、キータッチ云々以前の段階でアウト、ということになってしまうと思います。
 μTRONではいろいろ配置を試しましたが、キータッチが軽く、左右対称であったとしても、
a.両肘を広くとれること
b.前腕に無理な内旋が生じないこと
という条件が改善できない限り、私にとってはあまり大きな負担軽減にはならないのでは、などと感じてきました。
 μTRONに慣れてしまった後は、どうしても標準キーボードの標準運指には、論理配列云々に関わりなく、最早適応できなくなってしまっています。
(それでも職場のPCなどでは融通がききませんから、仕方なく左手は中指をAに於いて人差し指との日本だけを使う、という手でごまかしています。これはこれで慣れてくると案外使いでがあります。)


>よりμtronの方が体の負担が減ると感じるか
 一口に「負担軽減」といっても、どういう種類の負担なのかを分類整理して考える必要があると思います。
 私の場合だと、おそらく最も軽減された負担は、

  • 左手首の外方への屈曲と、
  • 両前腕の内旋。

さらに、自分にとってこれがベスト!というセッティングを見つけて以降は、肩周りや脇辺り、背中から腰まで、捻れやこわばりがだいぶ消えたように思います。数年来の腰椎あたりの違和感も、標準キーボードが原因であったのも、μTRONを使い始めてからはっきりと判りました。


 キータッチも、タイピング時の負担という点では重要な要因ではありますが、それとは全く次元を異にする負担の方が、μTRONキーボードによる負担軽減を考える際には、重要であるように思います。
 時間があれば詳しく書きたいのですが、端的に言って、

  • 「楽な姿勢、キーボードに対する楽な前腕の入射角度が、標準キーボードで保ているかどうか」

ということが、μTRONが有用であるかどうかの分かれ目かな、と個人的には考えています。(但しこの場合、「楽な」というのは、単に「脱力している」という静的なことではなく、「手を動かしているときに一部に無理な負担がかからない」という動的な視点での表現です。)


 私自身を例にとりますと、
①鎖骨が長く、
②また上腕も長いため、
肩周りをラクに構えようとすると、どうしても両肘がかなり広がってしまいます(μTRONで楽な位置で測ってみたところ、50cmちょっとあります)。こうなると、標準キーボードだと、キーボードに対する前腕の入射角がどうしても大きくなってしまいます。
 加えて私の場合、
③前腕が相対的に短いため、
更に入射角度は大きくなり、

  • 相当無理な手首の曲がり方で、キーボードに手を構えることに

なってしまいます。

 また、この状況に対し、「脇を閉じて肩をすぼめて、両肘を狭くして」対応しようとした場合、

  • 上半身がこわばる

以外に、もう一点、腕にとても大きな負担がかかることになります。つまり、

  • 同じキーボード面に同じ角度で手を置いた場合、脇を緩めた場合に対して、前腕の内旋が相対的に大きくなってしまう、

ということです。


 以上のように、標準キーボードを用いる場合、私の体では如何様にしても許容範囲を超えた無理が生じてしまうので、μTRONの恩恵は非常に大きなものであると感じています。
 逆に、標準キーボードでも、「上半身をリラックスさせたまま、前腕の入射角も直角に近く余裕を持って構えられる」という方にとっては、それ以外のメリット(キーピッチなど)が上回り、μTRON→HHKProとすすむ方もおられるのだろう、などと考えています。



Ⅱ.タイピング時の動的な観点から
 「キーピッチ17mm、左右対称、格段均等キーズレ」という物理配列における、打鍵動作の側面での負担についても、少々。
 
(後日追記予定)